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2014年9月23日 (火)

救いの腕

千早亭落語会が閉演した後、若い女性に声をかけられました。
確か、客席の前の方で聴いてくださった方ではないかと思います。
羽織っ子連の要亭貴尾(たかお)さんと仰るそうです。
10月に開催される要亭落語会で、師匠の創作人情噺「救いの腕」をお演りになるとのことでした。
「救いの腕」は、今のところ、師匠と私しか演者がいない噺で、勿論ずっと語り続けようと思う名作ですが、同じ素人落語の方がチャレンジされるというのは大歓迎です。
もう3年前になりますが、師匠のブログにも、私の稽古ぶりと感想がコメントされています。
http://ensou-rakugo.at.webry.info/201106/article_79.html
http://ensou-rakugo.at.webry.info/201107/article_4.html
http://ensou-rakugo.at.webry.info/201109/article_20.html
http://ensou-rakugo.at.webry.info/201110/article_3.html
http://ensou-rakugo.at.webry.info/201110/article_34.html 
私も、当時のネタ下ろしの様子をコメントしています。
http://ranshi2.way-nifty.com/blog/2011/10/post-f382.html
その後、落語っ子連の稽古会で、師匠と窓口さんとで、この噺を話題にしました。
窓口さんから「救いの腕は上手くいきましたか?」と聞かれました。
そこで、初めて経験した、噺に観客が乗って勝手にストーリーが展開して行ったことを話しました。
師匠もこれを聞いて、「初めて他人が演るのを聴いて、いろいろ気づくところがあったよ」とか、私が味わった不思議な体験を、とても楽しげに、頷きながら聞いてくださいました。
あの時の特に女性の観客の方々の、その思いもよらなかった反応と感想・・・。
今まで演った落語の反応とは全く異質のものでした。
「師匠、この噺、物凄い噺ですね」
「女性の観客が多いあの会場だから、なおさら受けたんですね。
やはり落語はライブですね」
「演る前には予想だにしなかったことが起こり、とんでもなく素晴らしい体験が出来る・・・。これが、落語を演る魔力、演る人しか分からない落語の魅力ですね」
「師匠がマクラで仰っていた、男が男の目で作った男が主人公の伝統的な落語ではなく、女性が女性の目で見た女性や男を描いた落語があっていいということを、身を以って実感しました」・・・・・。
師匠も、大変嬉しそうでした。
という訳で、この「救いの腕」の話題を手始めにして、師匠の高座本の巻末の「噺の考察集」に、色々なコメントをさせていただく投稿者として、私も仲間入りさせていただくことになりました。
「流三の落語徘徊師」というペンネームにして。

・・・ということで、「救いの腕」の高座本には、「流三の落語徘徊師」として、以下のように投稿しました。
要亭貴尾さんは、これをお読みになったのでしょう。
「圓窓五百噺」の第499番目、師匠が女性作家の唯川恵さんの短編小説をヒントに創作された噺。
今まで演ったことのないパターンの噺にチャレンジしてみようと、師匠にお許しをいただいて取組んでみました。
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男が、男の目で、男を主人公にして口演される噺が多い中、女性を主人公にして、女性の会話だけでストーリーが展開して行きます。
ところが、原作者の師匠しか口演されていない噺で、しかも女性同士のやり取りが続くために、今まで経験したことのない高い壁にぶつかってしまい、なかなか出来上がらず、本当に悩みました。
「耳慣れない噺だから、とにかく耳で慣れることだよ」と師匠からのアドバイス。
そして苦心惨憺の上で臨んだ本番の高座の当日。
客席は、おかげさまで中年女性を中心にいっぱいのお客さま。
マクラをふって本題に入って暫くした時でした。
ちょっと不思議な感覚に捕われました。
喋っているのは確かに私なのですが、噺を進めているのは私ではないのです。
話の中の姉妹の会話が客席に入り、観客が噺を引っ張って、拙い私を助けてくれている・・??
オチの後に、「あぁぁ・・」という溜息のような声が聞こえました。
「自分のことのように聴きました」「身に詰まされてしまいました」と、何人もの女性の方が声をかけてくださいました。
実は、自分では予想もしていなかった反応でした。
「あれは、私が喋った噺ではない。演者を越えて、作品と観客の方々が勝手に共鳴して出来上がった高座だった。」
・・・・そんな気がします。
師匠から頂戴したこの噺、これからも大切にし、折に触れて口演を繰り返してみたいと思っています。
再びあの快感と感動に出会えるように。
女性が主人公になっている噺で、女性の感性で語ることが出来ると思いますので、是非演っていただきたいと思います。
師匠が、日野市の仕方っ子連・日野亭の女性メンバーの方もチャレンジするそうで、大変結構なことです。

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