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2014年3月 3日 (月)

雛鍔

heart今日は3月3日のひな祭り。
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昨日の朝日新聞「天声人語」に、「雛鍔」が引用されていました。
植木屋がさる屋敷で仕事をしていると、庭で遊んでいた8歳になる若様が、穴あき銭を拾ってしげしげと眺めた。
こんな若様でも落ちている銭を拾うんだと思っていると、若様、お付きの者に「これは何か」と聞く。
「お雛様の刀の鍔かい?」
植木屋は驚き、さすがに高貴なお方は違う、銭というものをご存じない――。
古典落語の「雛鍔」を思い出したのは、あすが桃の節句だからではない。
「これは何か」と何遍聞いても要領を得ない銭が、瞬く間にニュースの主役に躍り出てきたからだ。
ビットコインである。
インターネット上の仮想通貨なのだが、価値を保証する国も銀行もない。特定の発行者もない。
お金のことを「お足」などと言うが、この通貨はさしずめ、足のないユウレイにも思われる。
「ある意味、何もないところから魔法のように価値が生み出された」と、ノーベル経済学賞のクルーグマン教授は言っている。
それが世界で1兆から7千億円相当も流通している。
きのうの紙面にはコイン取引所の経営破綻が大きく載った。
「やっぱりね」と見るか。
新たな通貨への可能性を秘めた曲折と見るか。
にわか仕込みの知識では見当がつかない。
ただ、この件でコインの信用が総崩れしたわけではないらしい。
雛鍔の時代に戻れば、証文だけ持って何万両の富と言っても、世が乱れたら紙一枚だと江戸期の文人上田秋成が書いていた。
仮想空間で価値の膨れる通貨、古い奴としてはしばし、遠目に眺めるしかなさそうだ。
・・・・ビットコイン・・ねぇ。

ゲームの中にいればよいものを・・・。
「雛鍔」という噺・・・。
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八歳になる若様が、お屋敷のお庭散歩の途中で穴開き銭を拾った。
丸くて四角い穴が開いて文字が書かれて裏には波模様がある、これは、きっとお雛様の刀の鍔だろう。
これを聞いていたのが出入りの植木職人。
銭を知らねぇんだと感心して家に帰ると、同じく八歳の息子が銭くれぇ、お足くれぇと催促
する、育ちでこうも違うのかねぇと落胆する。
そこへご隠居が訪ねて来て、先日来の仕事依頼の食い違いを謝罪し、植木屋の親方もこ
ちらこそ申し訳ないと和解する。
そのとき、「こぉ~んな物拾った」植木屋の息子が「丸くて四角い穴が開いている、こ
れはお雛様の刀の鍔だろう」と聞こえよがしにつぶやく。
これを聞いたご隠居は、銭を知らないとは育ちの良い子供だと感心して、習字手習いの道具を買ってやるという。
親方が礼を言い、そんな不浄な物(銭)は捨てなさいと言うが、「やだい、これで焼き芋を買うんだい」・・・。

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