口演難易度「★★★★★」
師匠から譲っていただく高座本に、新たに「口演難易度」が表示されるようになりました。
「★」から「★★★★★」までのグレードがあるようです。
ちなみに、「深川三流亭」での演目では、「井戸の茶碗」「時蕎麦」と「鰍沢」が、「★★★★★」五つ星でした。
師匠がつけていらっしゃるので、どこかの何とかガイドの★よりもずっと説得力があります。
ちなみに、すべて確認した訳ではありませんが、私の持ちネタでは、「藪入り」「救いの腕」「揺れるとき」「帯久」は「★★★★★」、「三味線栗毛」は「★★★★」でした。
ところで、「鰍沢」ですが、以前にも申し上げましたが、本当に難しい噺です。
「鰍沢」について、こんな一文がありました。
登場人物は3人と少ないが、冬山の吹雪の様子や、旅人の大金を盗み見たお熊の心理の偏移を描写するためにかなりの芸力を要する。
その一方で物語の細部に矛盾点や瑕疵も多く、サゲが稚拙であるのもまた事実である。
そのため、数ある噺の中でも有数の難度の高い演目とされる。
・・・なるほど、今回の稽古や高座を通じて、この噺の難しさと奥深さを身をもって実感しました。
お熊の新助の財布を見る眼、「あいよ、あいよ」と伝三郎に後を追う決意を、どうやって描くか、描けるか・・・。
そういう点では、人情噺なんですね。
ところで、「鰍沢」は、名人と呼ばれた4代目橘家圓喬が得意とし、その高座は伝説と化してしまっていまっています。
実際に聴いたことのある昭和の名人のコメント等があります。
「…耳にこびりついているから、演れったてとても出来はしませんよ。…急流のところでは本当に激しい水の流れが見え、筏が一本になってしまうのも見えた」(8代目桂文楽)
「さっきまで晴れていたのが雨音がする。『困ったな』と思ってたら師匠が鰍沢の急流を演ってた」(5代目古今亭志ん生)
6代目三遊亭圓生師匠も、圓喬の「鰍沢」をかなり意識し、金子を見つめるお熊の一瞥を「ここが眼目です」と述べ、「自身の腕をどこまでできるか試すために演じている」と仰っていたそうです。
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