煎酒(いりざけ)
車浮代さんの「蔦重の教え」を読んでいて、どうしても出て来なかった単語(もの)を思い出しました。
「煎酒」ですよ。
今、我々が当たり前のように使っているのは醤油ですが、江戸より前の時代には、まだ醤油はなかったんです。
醤油が普及する前にポピュラーだったのが、「煎酒」だったと記憶していたのです。
その「煎酒」という名前を忘れていました。
煎酒は、江戸時代に用いられていた日本の古い調味料で、日本酒に梅干を入れて煮詰めたもの。
室町時代末期に考案されたといわれており、江戸時代中期までは垂味噌とともに広く用いられた液体調味料である。
江戸時代中期から醤油が普及するに従い次第に利用されなくなり、現在では一般に利用されることはほとんどない。
醤油のような強い個性を持たず素材の風味を生かすので、白身魚や貝類の刺身に相性がよい。
一時は完全に忘れ去られた調味料であるが、近年再評価されつつあり高級料亭などで刺身のつけだれとして利用される事が増えてきている。
・・・ですよ。
作り方も調べてみました。日本酒1合(180ml)に大き目の梅干1個を入れ火にかける。
梅干の風味がよく出るように軽くほぐし、半量になるまで弱火で煮詰める。
布巾や茶漉しで梅干を漉し、冷暗所で1~2日置いて味をなじませる。
冷蔵庫に保管すれば、2週間程度は保存できる。
これは、当初の原型に近い作り方であるが、風味やコクをつける為に「煎り米」、「鰹節」、「昆布」などを加えて煮詰める作り方もある。
また、味を調整するために「みりん」や「塩」を加える場合もある。
こういうことって、落語を演る上でも、知っているといないのとでは違いますよ。
醤油というのは、まだ新しい調味料なんですよ。