麹町の猿・・・か
もとは、麹町のさる旦那なんですが・・・。
・・・「その反対に、麹町の屋敷に”さる”旦那がいた。」
「あ~ら、猿の旦那がいたのですか。」
「名前が言えないので”さる”と言っているんだ。その旦那が瀬戸物に趣味があった。」
「あら、同じだわ。家の亭主も骨董の焼き物を大事にしていますよ。」
「そんな安物とは桁が違うよ。黙ってお聞き。ある時お客に拝見させた後奥様が片づけたが、間違って2階の階段から足を踏み外して下まで落ちてしまった。瀬戸物が大事と分かっていたので捧げて大事はなかったが、その時ご主人が『瀬戸物は大丈夫か、鉢は壊さないか、瀬戸物は壊しはしないか、鉢は壊さないか、瀬戸物は壊しはしないか。』と息もつかずに36ぺん言った。瀬戸物の事は聞いたが身体の事は 、これっぽっちも聞いてくれなかった。その後、奥様がいなくなって仲人から『瀬戸物の事は聞いても、身体の事を聞いてはくれない不実な方とは離縁願います』と出したくもない、離縁を出してしまった。」・・・・
・・・「厩火事」の有名な一節です。
この噺の主人公の「お崎さん」は、男にとってはある意味で理想の女房像なんです。
一方で、この「麹町の猿」は、極悪非道の権化です。
唐土(孔子)とまで言われなくても、絶対に言われたくないのが「麹町の猿」ですよ。
・・・ところが、「お前は麹町の猿だ」と言われてしまいました。
人格を否定されたようで、人間をやめたくなりました。
心当たりがないんですが・・・。