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2013年11月15日 (金)

こっちへお入り

電子メールで送信: 51YvgX0r3VL._SL160_.jpg吉田江利、三十三歳独身OL。
ちょっと荒んだアラサー女の心を癒してくれたのは往年の噺家たちだった。
ひょんなことから始めた素人落語にどんどんのめり込んでいく江利。
忘れかけていた他者への優しさや、何かに夢中になる情熱を徐々に取り戻していく。
落語は人間の本質を描くゆえに奥深い。
まさに人生の指南書だ! 
涙と笑いで贈る、遅れてやってきた青春の落語成長物語。

東大落語会寄席の時、金願亭めがねさんから勧められた本。
ふと、思い出しました。
こんな書評もありました。
主人公はベテランOLの吉田江利ちゃん。
カルチャーセンターの女性向け落語教室に通う友人の発表会に付き合わされた場面から物語は始まる。
素人落語ゆえに、やたらと早口になったり、表情が乏しかったりで、本職の落語家の高座とは大違い。
一生懸命やっている友人に気を遣って笑いどころを探し、笑うどころか疲れきって心の中でカラクチ批評をつぶやき続ける。
しかし、発表会後の打ち上げで、下手さ加減にめげることもなく「次の発表会には何をやろう」「この演目をやってみたい」と楽しげに盛り上がっている姿を目の当たりにして、「私には、こんなに一生懸命、楽しそうにできることがあるだろうか」──と考え込んでしまう。
それが、江利が落語に足を踏み入れるきっかけとなった。
そして、気がつけば、江利自身も落語教室のメンバーとなり、どんどん、落語にのめり込んでいく。
この物語の魅力は、「リアル感」だ。
主人公の江利は、才色兼備の理想のヒロインというわけではない。
職場ではカリカリしてばかり、年下の恋人ができた友人をやっかみ、弟の嫁さんにムカつき、努力はするが、ほどほどのところで現実と折り合ってしまう中途半端な性格。
そして、そんな自分を不甲斐なく思っている。
それは、まさに、落語に登場するお気楽な若旦那や、ダメ亭主の姿と重なる。
しかし、若旦那やダメ亭主は、なんと、可愛らしく、愛すべき人たちなのだろう。
完璧な人間なんて、そうそういるものではないけれど、みんな、一所懸命頑張っている。
物語の中盤、カルチャーセンターの講師の「落語は本来、人生讃歌なのです」という言葉が胸に響く。
自分を肯定することで、ドラマチックではないけれど、少しずつ変わっていく江利の姿が心地よい一冊だ。

・・・「人生賛歌」ですか・・・・。
自分を肯定するというのは、落語そのものかもしれませんね。
こんなのもありました。
落語詳しくないけど、これからはもっと積極的に聞きたい(観たい)と思った。
廓話やお妾さん話が嫌だというおかねさんにはすごく同意。
でも「文七元結」の小三治の演る「俺のほうじゃあ、誰も死なねぇ」には涙がでてしまい、なぜ?ってなったり。
「佃祭」の与太郎の「返しておくれよぅ~」にも涙...。
もっと他のお噺についても書いて欲しかった感じがした。

私の落語観は、初心者の方と同じ程度なのかなぁと、やや不安になってしまった部分もありますが。
ちょっと、時間を見つけて読んでみようかと・・・。
めがねさんに感想も言わなくてはいけないし。

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