乱志百態[高座編]
恋し家古狂師匠が、とても素敵な写真を撮ってくださいました。
アングルを変えて、普段なかなか見られないシーンです。
まず気に入ったのは、袖から高座に向かって出て行くところ。
お客さまの目に、私の姿が最初に映る瞬間です。
そして、一番緊張している瞬間でもあります。
この後姿、なかなか決まっていますよね。
特設の高座ですから、恐る恐る上がって、着物の裾を整えながら座布団に座ろうとしているところです。
こういう時の仕草が、もっとさりげなく、優雅に出来るようになりたいものです。
扇子を前に置き、「結界」を作ってから両手をついてお辞儀をしようとしているところです。
羽織を着て、結界を作るのは、能狂言や歌舞伎と同様、正式な"儀式"です。
結界とは、聖なる領域と俗なる領域を分け、秩序を維持するために区域を限ることを言い、座は高いけれども、お客さまのいる聖なる場所から区切られた、俗なる場所で起こることを見ていただきますということです。
(別の世界で起こっていることと、お許しをいただくということ。)
私は、深々とお辞儀をすることにしています。
暫く、貴重なお時間を頂戴するという気持ちを込めているつもりです。
正式な挨拶が済みましたから、噺を始めてここからは、羽織を脱いでも良いことになります。
マクラは、あまり長くならないように、今回は言葉の意味から落語のオチに繋げ、新しいオチで演ることを、暗に仕込むことにしました。
今回は、登場人物に侍が出てくるのと、その侍が黒羽二重を着ているという説明もしますので、最後まで羽織は脱がずに演じました。
(色々考えているんです。)
写真を撮影をしてくださった恋し家古狂師匠が、「乱志さん芸は、2Dから3D演出になり、抜け雀はまさに奥行が出て素晴らしい!」と褒めてくださいました。
絵を描くシーン2ヶ所は、師匠の高座本では地語りになっていましたが、無言の仕草での演出にしてみました。
自分としては出来は、???ではありますが、何とかなったのかなという感じはしています。
そして、座布団を返して、高座を下りて、トリのぴん吉さんのめくりをめくります。
お客さまには、長時間のお付き合い、ありがとうございました。
古狂師匠、お心遣いありがとうございます。
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