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2012年7月15日 (日)

落語DEデート

car車検を終えたばかりの愛車の中で聴く「落語DEデート」。
一緒に老親の生存確認に行く妹の家に向かう途中。
  ◇ 一文笛    二代目 桂春蝶
米朝師匠の十八番の上方の噺。
この人情噺を13分強でやっているのですから、驚きです。
最近は、東京でも演る噺家さんが増えているようで、「林家正蔵」さんで何度か聴きました。
それにしても痛ましい噺であることは確かで、何か救われない。
それと、オチが気になります。
「ギッチョ」という言葉なんです。どうも差別用語のような気がして。
左利きのことを言うのですが、「現代では相応しくない言葉遣いがありますが、音源をそのままお伝えしますので・・」という説明はよくありますが、会話の中ならまだしも、オチの言葉そのものというのはと。
この噺では、「オレは左利きなんだよ」でも、オチとしてはおかしくないと思うのです。
現に、「左利き」としているものもあるようです。
若いが腕の良いスリがいた。
この男、仲間同士でその腕を競い合ったりする。
用心深い旦那の腰にある煙草入れを狙ったりするが誰一人スレルものはいない。
この男、名を上げようと、この旦那と巧妙な交渉をして手に入れてしまうという頭の
いい機転のきく男であった。
或る日この男、長屋に入っていくと駄菓子屋の前に子供の人だかりがしていた。
一個一文という鳥笛を買い求めているのだ。愛想の悪い店の女主人が相手をしている。
子供達から少し離れたところに汚い格好をした男の子がもの欲しそうに立っていた。
女主人はその子供に対して「こっちにきちゃだめだよ。どうせ一文無しなんだから売れるものはないよ!」とがなっている。
この男の子は武士のでなのだが、父親が浪人し、病弱のために寝たきりになっているので、その日の暮らしにも困っている。
他の子供達のように笛で遊びたくてもできようもない男の子を見ていたスリ男。
店に近づいていき主人の
スキをみて笛を一個スリ取った。この程度のことはスリにとってはわけもないことだった。
スリとった笛を男の子の懐にそっとしのばすのも、スリならでは腕前。
だがこの行為が悲劇を生むようになるとは…………・
もらった笛で無邪気に遊んでいる姿を店の女主人が見つけた。
「これお前。その笛はどうしたんだ。家じゃうっていないはずだ。盗んだんだろ。この盗人め!」
たちまちこのことは近所の知れることになり、父親から家をだされた子供は、仕方なく思い余って井戸に身を投げてしまう。
近所の人達があわてて助けるが命は危ない状態だった。
この話がスリのあにき筋の人の耳に入った。スリの男を呼びつけて「おまえなあ。なんであんなことをしたんや。たしかにお前はスリとしては腕はいい。一文笛の一つや二つなんてちょろいもんやろ。けどな、お前が親切心でやったと思ってたら大間違いやで。スリとったものを子供に…おかげでな、子供は父親にこっぴどくしかられてな、思い余って井戸に飛び込んで危篤状態じゃわい。」
「わてのしたことで子供が……………わてもうスリから足を洗います。いえ本心だ。堅気になってまじめに働きますわ。これがわての覚悟だす。」と右手の指を切り落としてしまった。
「おい、無茶なことをするなや。わかった。お前の覚悟は認めてやる。」
「えっ。ほんまだすか。それで医者にはみせてるんでっしゃろな。」
「あほいえ、そんな金どこにあるねん。長屋じゅうのものが金かきあつめてもT足らん」
「どないしましょ。」
「蘭学の医者なら助かるかもしれけどな。莫大な金がいる。」
「あの医者なあ。ここに来る途中の大店に来てましたがな。」
「そや。旦那をみにきているんじゃ。診察代を受け取るとな、芸者屋に直行だそうな。」
「よっしゃまかせときいな。」とスリは出ていった。
しばらくすると、戻ってきて兄貴分の前に座ると、「どうぞこれで子供を助けてやっておくんなはれ。」と、三十両を差し出した。
「どないしたんやこれは。」
「医者からいただいたんや。」
「まだ、お前の性根はなおっておらんようだな。盗んだ金で子供を助けられるか。」
「盗んだ金でも金は金です。あの算術医者に渡せば子供はたすかるんだ。どうかつこうてください。」
「それにしても、利き手はなくしたんとちゃうのか。」
「あっしは左利きだんねん。」

「ギッチョ」には、諸説あるようです。
あまり気にすることもないのでしょうか?
■ぎっちょ
①1月15日に、書初めだの門松だのを燃やす正月行事(地方によっては、”どんど焼き”という)を、左義長(サギチョウ/サギッチョウ)という。
それで、”左”を”ギチョウ”と洒落たのが語源。
そして、ギッチョウ/ギッチョに変化した。
②茶道で、炉/風炉に、炭を入れる際の炭の種類に、ギッチョ というのがある。
材料が違うわけではなく、形状の差だが、作法では、ギッチョは、左に置くことになっている。
というわけで、 「左=ぎっちょ」。

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