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2012年6月15日 (金)

「鰍沢」のこと

師匠の高座本「鰍沢」を読んで発見した、師匠のオリジナルの工夫と感想、この演出でチャレンジしてみたいとメールしました。
写真写真
師匠、先日の稽古会の時頂戴した「鰍沢」の高座本を拝読して、とても驚きました。
圓朝の名作で、しかも私の故郷が舞台ですので、大変気になる噺ではあるのですが、猛吹雪に迷って難渋している旅人を、家の中に入れてくれる優しい元花魁のお熊が、いくら金目当てとは言え、毒を盛って、鉄砲を持って追いかけて来るのはあまりにも酷いし、落語に合わないなと思っていました。
また、とりあえず鉄砲の弾は外れたとはいえ、まだ激流の中で丸太一本にすがって流されている状態なのに、「お材木(題目)で助かった」なんて言えるのだろうかと・・。
・・・ずっとこんな違和感がありました。
ところが、師匠の高座本での演出は、この2点が見事に、いとも簡単に解決されていました。
驚きました。こういう手があったんですねぇ。
・・・という訳で、故郷の噺にチャレンジさせていただくお願いをする日も近くなって来ました。
以上、高座本の感想です。

Photo_2早速、師匠から返信を頂戴しました。
小生の工夫に納得してもらって、とても嬉しいです。
10何年前に工夫して、テレビで放映しました。
プロの噺家には、古典、既成を至上とする者が多いので、この噺の矛盾にはほとんど感知していません、。
だから、工夫にも誰もがノータッチでした、、、。(笑)
茶の間で見ていた今の文楽さんが後日、楽屋で「驚いたよ、夢になったんで」と言ってきました。
「夢に驚いた」だけで、それ以上奥の真髄には触れずでしたがね。

(近々、故郷の噺にチャレンジさせていただきたいとお願いをすると)Photo_3
是非とも演って、、、。     圓窓

・・・とても嬉しいコメントです。
「圓窓五百噺ダイジェスト」では、師匠は以下のようにコメントしています。
圓朝作の三題噺で「小室山の御封」「卵酒」「熊の膏薬」がお題。旅人と元花魁との会話は妖艶であり凄味があるという聞きどころ。
落ちは「お節徳三郎(下)」と同じなのが気に食わないし、また、命拾いをした瞬間に駄洒落を口にするのも不自然。Photo_4
あたしは以前、「卵酒を飲んだあと眠った新助の夢だった」と設定にして他の落ちを工夫したこともあったが、成功したとは思えないので、それは捨ててしまった。
いつか、工夫したいと思案している。

ここでは、一旦捨てたというコメントになっていますが、少なくとも元の展開よりもずっと納得できるもので、地口オチであることには変わりませんが、これで演ってみたいと思います。
幸い、師匠から「鰍沢」のチャレンジのお許しもいただけました。
来春のいずれかの会あたりで演ってみようか・・・。

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