« 落研OBの活動 | トップページ | 鬼の撹乱 »

2012年5月26日 (土)

「紺屋高尾」「幾代餅」「搗屋無間」

凡夫なら誰でも、こんなことがあったらいいなと思うでしょう。
この3題は、東西での違いではなく、いずれも江戸が舞台で、噺の設定が似ているものです。
【紺屋高尾】
神田Photo紺屋町、染物屋の吉兵衛さんの職人で久蔵さんが寝付いてしまった。
話を聞くと、国元に帰るため初めて吉原に連れて行かれ、当世飛ぶ鳥を落とす勢いの三浦屋の「高尾太夫」の道中を見て恋患い。
錦絵を買い求めたが、全て高尾太夫に見える。
10両で会えるだろうから3年働き9両貯めて1両足してそれで連れて行くという。
久さん元気になって働き、3年後、その金で買うから渡してくれと親方に言うと、気持ちよく着物も貸してくれて送り出してくれた。

お玉が池の医者の竹之内蘭石先生に、連れて行って貰う。
流山の大尽として、首尾良く高尾太夫に会えた。
挨拶の後、「こんどは何時来てくんなます」、「3年経たないとこれないのです」と泣きながら全て本当のことを話すと、高尾は感動し、こんなにも思ってくれる人ならと、「来年の3月15日に年(年季)が明けたら、わちきを女房にしてくんなますか」。
久さんうなずき、夫婦の約束をする。
揚げ代は私が何とかしますし、持参した10両と約束の証にと香箱の蓋を太夫から貰って、久さんは亭主の待遇で帰って来る。

翌年約束の日に、高尾は久蔵の前に現れ、めでたく夫婦になる。 
この噺は六代目「三遊亭圓生」師匠が、講釈から翻案したと言われる十八番の噺。
「高尾太夫」代々というのは、斯界でも有名な花魁です。
【幾代餅】
搗き米屋の若い者清蔵が恋患い。
錦絵の姿海老屋の「幾代太夫」に一目惚れ、親方が1年間働けば連れていくと約束し病は治る。
1年後溜まった13両2分に親方が足して15両持たせて出してやる。Photo_2
首尾良く幾代太夫に会えて、後朝(きぬぎぬ)の別れ。
「主は何時来てくんなんす」、清蔵さん全てを話し、幾代は感動して「来年の3月、年(年季)が明けたらわちきを女房にしてくんなんす」。
二人は夫婦約束をし、持参金50両を預かって帰ってくる。
3月、幾代が搗き米屋の前に着き、めでたく夫婦に。これを期に両国広小路に、名物の幾代餅を初めて繁昌した。
この幾代さんは実在のお女郎さんで、太夫ほどの位はなかったが、幾代餅を売り出して、大変評判を取ったという。
明治の初めまで、両国広小路に店が有ったという。

三遊亭の「高尾太夫」に対して、古今亭は「幾代太夫」と、これまた実在の売れっ子が登場します。
ストーリーはほとんど同じで、最大の違いは「紺屋」か「餅屋」かというところ。
【搗屋無間】
Photo_3米搗き男徳兵衛さんがぶらぶら病。
松葉屋の「丸山花魁」に一目惚れ。
働いた金、10両で会いに行く。
田舎出の徳さん、見栄張るどころか全て白状してしまう。
花魁は徳さんの心に惹かれ一途に。
しかし、徳さん300両の身請け金が出来るはずもなく、ぶらぶらしていたが、気を取り直して臼に向かって一心不乱米を搗くと、なんと梁から小判で270両が落ちてきた。
何で30両足りないんだろうと思うと、その筈「1割、30両は搗き減りした」。
(搗き米は預かったお米の1割を損料として差し引いて返した。それが儲けの一部となった。)

八代目春風亭柳枝師匠のを聴いた記憶があります。
オチがしっかりとついていて、落語らしい噺。
ただし、ちょっと分かりづらいかもしれません。
そもそも、今では、米を搗くというイメージがしづらいですから。
高い方から「高尾」・「幾代」・「丸山」という順番なんでしょうか?
噺もこの順番で、登場人物もだんだん庶民的な雰囲気になって行く気がします。
偶然でしょうか、三遊亭・古今亭・柳家(春風亭)という並びです。
芸風ということなのでしょう・・・。

« 落研OBの活動 | トップページ | 鬼の撹乱 »

落語・噺・ネタ」カテゴリの記事