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2012年5月 7日 (月)

人形買い

これもあまりポピュラーな噺ではありません。
圓生師匠の音源を見つけました。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm10565828Photo_5
五月人形というのは、端午の節句に、男の子の祝いとして飾られる人形類。
武者姿をしたものが多いので武者人形ともいう。2
種類には八幡太郎義家、佐々木高綱、日吉丸、鎮西八郎為朝、朝比奈三郎義秀、坂田金時、源義経などがあり、また二人立ちでは神功皇后・武内宿禰、牛若・
弁慶、山姥・金時、曽我兄弟、太閤・清正などがある。
さらに関羽、鍾馗など、和漢の歴史、物語、芝居などに登場する英雄豪傑を人形化したものがある。

江戸時代初期には、端午の節句に、模造の飾り冑を、そのほかの武具類や幟、吹貫などとともに屋外に並べ立てる風習があった。
圓生師匠の音源を聴いて感じるのは、かなり語りのテンポが早いということです。

長屋の神道者の赤ん坊が初節句で、ちまきが配られたので、長屋中で祝いに人形を贈ることになった。
月番の甚兵衛が代表で長屋二十軒から二十五銭ずつ、計五円を集め、人形を選んでくることになったが、買い方がわからない。
女房に相談すると、「来月の月番の松つぁんは人間がこすからいから、うまくおだててやってもらいな」と言う。
馬鹿正直な甚兵衛がそれを全部しゃべってので、本人は渋い顔。
行きがかり上、しかたなく同行することになったが、転んでもただで起きない松つぁん、人形を値切り、冷や奴で一杯やる金をひねり出す腹づもり。人形屋に着くと、店番の若だんなをうまく丸め込み、これは縁つなぎだから、この先なんとでも埋め合わせをつけると、十円の人形を四円に負けさせることに成功。
Photo_6
候補は豊臣秀吉のと神功皇后の二体で、どちらに決めるかは長屋に戻り、うるさ方の易者と講釈師の判断を仰がなければならない。
そこで、さっき甚兵衛が汚い人形と間違えた、青っぱなを垂らした小僧に二体を担がせて店を出る。
ところがこの小僧、とんだおしゃべりで、この人形は実は一昨年の売れ残りで処分に困り、だんなが「店に出しておけばどこかの馬鹿が引っかかって買っていく」と吹っ掛けて値段をつけた代物で、あと二円は値切れたとバラしたから、二人はまんまとだまされたとくやしがる。
その上、若だんなが女中おもよに言い寄るシーンを話し、十銭せしめようとするのでまたまた騒然。
帰って易者に伺いを立てると、早速、卦を立て「本年お生まれの赤さんは金性。太閤秀吉公は火の性で『火剋金』で相性はよろしからず。
神功皇后さまは女体にわたらせられるから、水性。水と金は『金生水』と申して相性がよい。神宮皇后になさい」というご託宣。
二人が喜んで帰ろうとすると、「見料五十銭置いていきなさい」
これで酒二合が一合に目減り。
講釈師のところへ行くと、「そも太閤秀吉という人は、尾州愛知郡百姓竹阿弥弥助のせがれにして幼名を日吉丸……」と、とうとうと「太閤記」をまくしたてる。
「それで先生、結局どっちがいいんで」
「豊臣家は二代で滅んだから、縁起がよろしくない。神功皇后がよろしかろう」
それだけ聞けば十分と、退散しようとすると「木戸銭二人前四十銭置いていきなさい」
これで冷や奴だけになったと嘆いていると「座布団二枚で十銭」
これで余得は何もなし。
がっかりして、神道者に人形を届けにいくと、甚兵衛が、ちまきは砂糖をかけなくてはならないからかえって高くつくという長屋の衆の陰口を全部しゃべってしまう。

神道者「お心にかけられまして、あたくしを神職と見立てて、神功皇后さまとはなによりもけっこうなお人形でございます。そも神功皇后さまと申したてまつるは、人皇十四代仲哀天皇の御后にて……」と講釈を並べ立てるから
松つぁん慌てて「待った待った、講釈料は長屋へのお返しからさっ引いてください」

この噺は、上方から三遊亭圓馬が江戸に持ち込んだものです。
圓生師匠ぐらいしかやらなかったようですが、ストーリー以前に、神功皇后がどんな人か、端午の節句の慣習などを知らないと、全然分からなくなります。

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