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2012年2月 6日 (月)

「ザッツ・ア・プレンティー」読破

後半は、斜め読みのように、読み急ぐように、11月21日の運命の日まで、一気に読み終えました。
既に日が替わって、深夜の0時20分。
・・・・・・・・。
こんな書評がありました。
松岡弓子『ザッツ・ア・プレンティー』(亜紀書房)は、談志の長女による介護の手記だ。
題名は、談志が好んだデキシーランド・ジャズの名曲から。
葬儀の際には、この曲が出棺時に流されたという。
著者は母や弟、友人たちと共に258日間にわたって病床の父を世話し、その模様を日記として残した。
5月23日の項にこうある。
----私は父の落語のお辞儀はすごいと思っている。
生で見ると必ず涙が出てしまう。
母は父の高座を見に行くことはない。
もしかしたら、母はそれが嫌で父の高座に行かないのかもしれない。
立川談志が最後に高座をつとめたのは3月6日のことだった。
その後、悪化した喉頭がんの手術によって声を失う。
胃瘻といい、腹部から胃に直接つないだ袋から栄養を入れることによって命をつなぐ処置も受けた。
本名・松岡克由ではなく、立川談志として生きることを選んだ男にとって、商売道具であり生きるよすがでもあった「声」を奪われたことは何よりも衝撃だったはずだ。
声が出せなくなった男の、声にならない叫びを家族は聞き続ける。
しかし父に生きていてもらいたいと願う。
その思いによって談志は家族とつながっていた。
観客を悦ばせることに長年徹してきた人物が、最後の日々においては家族だけと向き合っていたのである。
そうした私人としての談志の姿を知りたくなかった、というファンもいるだろう。
しかし私は、何もかも、ありのままをさらけだす態度こそ故人にはふさわしいと考える。
『ザッツ・ア・プレンティー』は世に出されるべき本である。
実は、これを読んで、この本を手にしました。

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