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2012年1月25日 (水)

薮入りと俳句

"薮入りや 何にも言わず 泣き笑い"・・・・。
・・・「薮入り」のマクラに使うこれも俳句なんでしょう。
俳句を習っている母が、お正月に持って行った「藪入り」のDVDを聴いて、作句したものが主宰の眼に止まり、私の高座名やら尋ねられたそうです。
母は、私が幾つも高座名を持っているので、口で説明するよりはと、「お江戸あおば亭」などのプログラムを主宰に送ったそうです。
 "薮入りを 若者に聞かす 初高座"Photo
この「初高座」というのは、「薮入り」の時期(1月16日)を意識して、今年の語り初めという意味なのでしょう。
どうも、はっきり言いませんが、「薮入り」という噺は、かなり気に入ったようです。
この年代ぐらいまでは、薮入りという言葉には、奉公をした訳ではなくても<思い入れがあるのでしょう。
お正月に帰省した時に、「落語の(一人での)稽古はいつやってるんだい?」なんて尋ねられましたから、噺自体にも、私の語りにも、興味を持ってくれた気がしました。
句には、母なりのフィクションが詠み込まれているようですが、本当は、私の子どもたちにも聴かせたい噺であるとは思います。
「薮入り」は、養父入り、宿下り、里下り、宿下り、とも表しますが、やはりいまや死語、限りなく絶滅季語に近いと言われるようです。
「俳諧歳時記・新年」によれば、「大和の俗に、前年嫁したる女、其親里に帰るときは、必ず餅を搗きて祝す。これを十六餅、略して六の餅といひ、薮入を六入ともいふ」とあるそうです。其角など有名人の句も多くあるようです。
   やぶい入りや牛合点して大原迄     其角
   藪入の寝るやひとりの親の側       太祇
   薮入の宿は狂女の隣かな         蕪村
   藪入の頬にもつけよ桃の花        一茶
   藪入や思ひは同じ姉妹           子規

泣かせますね・・。

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