幕末太陽傳
産経新聞の記者が「幕末太陽傳」を絶賛していました。
◇「幕末太陽傳(でん) デジタル修復版」(テアトル新宿)
日本映画黄金期の昭和32年に公開された川島雄三監督の代表作。川島監督は、45年の短い生涯の間に、51本もの映画を撮ったが、1本をあげろといわれれば、これになる。日本映画史上に残る傑作といっていい。
落語をもとに、幕末の品川宿を舞台にした喜劇だが、物語のおもしろさというよりも、遊びの代金を踏み倒してわざと遊郭に居残った町人、佐平次を演じたフランキー堺の動きに注目してほしい。
美術監督、中村公彦による遊郭のセットを、縦横無尽に走り回る。
そして、着物を羽織る粋な仕草。何とも、格好いい。
「風だ、風だ、こいつを見た奴は誰もいない」と、川島監督は言ったらしいが、フランキーが動くことで、周囲の空気が、ふわりとゆらぐ。
まるで、風が見えるようだ。その空気感を、名手、高村倉太郎(くらたろう)が、カメラにとらえた。
本作は、来年の日活100周年を記念し、デジタル技術で当時の鮮明な映像と音がよみがえった“リマスター版”だが、高村の映像の美しさが、本当によく分かる。
ちょうど上映中なので、ぜひ、映画館で観てほしい。
・・・映画館で観てみたいと思いますが、新年明けてからもやっているかな?