桜鯛
あの昭和の名人「六代目三遊亭圓生」師匠の最後の噺が「桜鯛」という噺だそうです。
「桜鯛」と言っても、あまりピンと来ません。
マクラで使う小噺のひとつで、「大名小噺」として、いくつか語られもののひとつです。
ものを知らぬのが大名ですが、ある殿様は飯の炊き方を知っていると自慢しています。
米を研いで釜に移し、片手を入れて「手の甲まで水を入れて火で炊くのじゃ」と。
周りの人から訊ねられます。
「米が二升になったら?」「両手を入れる。」
「米が三升になったら?」「さらに片足を入れる」・・
です。大名が魚を食べる時は、一箸付けては「代わりを持て」一箸付けては「代わりを持て」と次々に皿を交換するのが普通です。
普段、殿様は鯛には箸を付けないので、代わりを用意していない。
こんな時に限って、鯛の真ん中に一箸付けて「代わりを持て」と。代わりがないので、「殿、庭の桜がもうすぐ満開でございます」と誘い、殿様が目を逸らした隙に、お付きの者が魚を引っ繰り返します。
「代わりが来たか」とまた一箸付けて「代わりを持て」と。
もう代わりがないのでおろおろしていると・・・・、
「また桜を見ようか?」・・・。
1979(昭和54)9月3日、三遊亭圓生師匠は、「習志野圓生後援会」の発会式に、体調不良を押して臨んだそうです。
声が震えてよく通らないので心配していると、この小噺を5~6分演って下りて来たそうです。
直後に心筋梗塞で倒れ、そのまま還らぬ人となりました。
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