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2011年9月12日 (月)

金明竹

この噺も、ただ上方弁の早口な口上が面白いというだけでは、まだ落語鑑賞としては、まだ中腹だと思います。
色々、薀蓄のある噺・口上です。2_2
(私もよく知りませんが。)
店番をしていた小僧が知らない人に傘を貸したので主が注意をする。
貸し傘がありましたが、長雨で骨と紙がバラバラになり、物置に積んであるのでお貸しで来ませんと断れと。
次に、近所の人が鼠が出たから猫を貸してくれと頼みに来た。
小僧は教わった通りに、貸し猫がありましたが、長雨で骨と皮がバラバラになり、物置に積んであるので貸せませんと断った。
これを聞いた主がまた注意をした。
そういうときは、猫が一匹おりましたが、どこかで悪いエビの尻尾でも食ったらしくて、腹を下したので、マタタビを嘗めさせて寝かしておりますからお貸しで来ませんと。
今度は客が来た。見立てて貰いたい物があるので、旦那の顔を貸して欲しいと。
小僧は、旦那が一匹おりましたが、どこかで悪いエビの尻尾でも食ったらしくて腹を下したので、マタタビを嘗めさせて寝かしておりますので、お貸しできませんと断った。
旦那は「それじゃ、まるで猫だよ」

さあ、この後、上方弁のお使いの人が来て、早口の口上をまくし立てて帰ります。
その口上を申し上げることにしましょう。
「わてなぁ、中橋の加賀屋佐吉方から使いに参じましてん。Photo_15
先度仲買いの弥一が取り次ぎました道具七品のことでござります。
祐乗(ゆうじょう)宗乗(そうじょう)光乗(こうじょう)三作の三所物(みところもん)、備前長船(びぜんおさふね)の則光(のりみつ)に
横谷宗珉四分一(しぶいち)ごしらえ小柄(こつか)付きの脇差。あの脇差ナ、柄前(つかまえ)が鉄刀木(たがやさん)や言うてはりましてんけど埋れ木やさかい、木ぃが違うておりますのでちょっとお断り申しあげまぁ。
自在は黄檗山金明竹(おうばくさんきんめいちく)ずんどの花活(はないけ)には遠州宗甫(えんしゅうそうほ)の銘がござります。
織部の香合のんこうの茶碗、古池や蛙飛び込む水の音申します風羅坊正筆(ふうらぼうしょうひつ)の掛け物、沢庵・木庵・隠元禅師(たくあん、もくあん、いんげんぜんじ)張りまぜの小屏風、あの屏風ナ、わいの旦那の檀那寺が兵庫におまして、兵庫の坊さんえろう好みます屏風やさかい表具にやって兵庫の坊主の屏風にいたしますと、こないお言付け願いとうおまんねんけど」・・・。
聞き流していると、何を言っているのか、皆目見当がつきません。
そこで、落ち着いて
口上の「道具七品」を整理してみましょう。
   1.三所物ならびに脇差
   2.織部の香合
   3.のんこうの茶碗
   4.黄檗山金明竹の自在鍵
   5.(小堀遠州の銘のある)ずんどうの花いけ
   6.風羅坊正筆の掛け物
   7.貼り混ぜの小屏風  ・・・以上が「道具七品」です。
1.は説明が長いので2品と間違えやすいのですが、この脇差の柄前が実際には埋もれ木で、「木が違っている/気が違っている」ことを使者は伝えています。
6.の「風羅坊」というのは松尾芭蕉のことで、芭蕉直筆の掛け物ということ。
7.の小屏風は、「あの屏風は、私の旦那の旦那寺が兵庫にありまして、この兵庫の坊主が大好きな屏風ですから、表具へやり、この兵庫の坊主の屏風にいたします。」ということ。
「金明竹」はいわゆる口ならしのための前座噺ですから、内容云々よりも聞いた時の面白さで語るものです。
でもこの佐吉方から来たお使いの言いたかったことは、要するに「道具七品」のうち、上記1と7の2点について、ちょっとご注意願います、ということなんですね。

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