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2011年9月 6日 (火)

真景累ヶ淵④~お久殺し

因縁の舞台は江戸を離れて、下総国羽生村へ移ります。Photo_10
そして因縁は、さらに深く、陰湿に・・・。
1794年8月、「豊志賀」の墓参で出会った「新吉」と「お久」。
その場から、お久の実家のある下総羽生村へ駆け落ちをします。
日が暮れた鬼怒川を渡ると、そこは「累ヶ淵」。
お久が土手の草むらにあった鎌で足を怪我してしまいます。
新吉が介抱しながらお久を見ると、豊志賀の顔。Photo_11
驚いた新吉は思わず鎌でお久を惨殺してしまいます。
それを目撃した「土手の甚蔵」と格闘となります。
新吉は落雷の隙に逃げますが、その逃げ込んだ家が、なんと甚蔵の留守宅だったという皮肉な・・・。
これから甚蔵は、新吉から金を強請り取ろうとしますが、新吉が文無しだと知って落胆します。
Photo_4ここでお久は、草むらに隠れて見えなかった「鎌」で怪我をし、さらに殺されてしまいますが、怪我や殺されるパターンは、やや単調に思えるかもしれません。
ただ、当時の農家には、押切や鎌など、使い方によっては強力な凶器になるようなものがあったことも確かです。
・・・と、よく考えてみると、この「真景累ヶ淵」という怪談は、江戸時代からよく知られた「累伝説」を下敷きにした作品だということに気がつきました。
この「累伝説」の中心にあるのは、男に執着したまま死んだ女の怨念が、その後もずっと男に祟ると言うもの。Photo いわゆる「累もの」の特徴と言えるのは、死んだ女の霊が、男の恋人に取り付き、一瞬にして女の容貌が変化したり、怪我をするという怪異がおきるところで、まさに累々と被害の連鎖が続いていくというもの。
もとになっている「累伝説」は下総の国羽生村を舞台としたもので、与右衛門という男が鬼怒川ぞいの土手で殺人を犯し、その時に鎌を使ったという言い伝えがあり、そのために芝居や話芸の「累もの」には必ず鎌が出てくるという約束事があるのです。
圓朝の「真景累ヶ淵」でも、新吉が心ならずもお久を殺してしまうのが、むかし与右衛門が殺人を犯した「累ヶ淵」、そのきっかけになるのが道端に落ちていた鎌という、圓朝の趣向という解釈もできるのかもしれません。
ところで、全く話は変わりますが、圓朝創作の噺には、生まれついてのワルというのが、必ず出て来ます。
「双蝶々」の「小雀長吉」も、親の手にも負えない輩の一人です。

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