「昭和の名人完結編」(15)
彦六の「八代目林家正蔵」師匠。
いかにも明治生まれの堅物のような雰囲気の師匠でしたが、怖いけれども茶目っ気があって、今でもお弟子さんたちから慕われている師匠です。
ご自宅から鈴本演芸場へ通う定期券の話と、食べ物(特に、アーモンドチョコレートとかびた餅)の話は爆笑もので、この師匠の人柄が滲み出ている実話なんだそうです。
◇ 五人廻し 林家正蔵
◇ ぞろぞろ 林家正蔵
◇ 累草紙~親不知 林家正蔵
この「昭和の名人 完結編」シリーズも、本号で第15巻となり、専用のファイルも2冊目に入っているので、第1巻目から、パラパラとめくって読み返してみると、噺以外の内容も、なかなか充実していることに気づきます。
ところで、「累草紙~親不知」というのは、実はこちらが本家で、三遊亭圓朝の師匠、二代目・三遊亭圓生の作になると言われる長編怪談噺の一節です。
与右衛門という侍が関係した女を殺害し、その祟りが累々と続いていくという「累」伝説のバリエーションのひとつで、三遊亭圓朝作の「真景累ヶ淵」の先行作であるところから、「古累(ふるかさね)」とも呼ばれているそうです。
与右衛門はいそと夫婦約束をするが、心変わりをして親不知の峠で彼女を殺害する。
離縁を切り出す件から、殺害、そして切れ場の怪異までが芝居掛かりで演じられ、三味線やツケも入ります。
先代正蔵師匠の十八番であり、私は、数年前、お弟子さんの「林家正雀」師匠を生で聴きました。
まさに江戸時代の草紙を読むような古風な雰囲気をよく醸し出していると思います。
この噺については、「真景累ヶ淵」の紹介の後で、述べてみたいと思います。
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