御神酒徳利
三遊亭圓生師匠が、昭和48年に昭和皇后古希のお祝いの余興の「御前口演」でお演りになったのが、この「御神酒徳利」です。
馬喰町の旅籠屋、刈豆屋吉左衛門には、葵紋の銀の御神酒徳利がある。
煤取りの日に、放置されている徳利を通い番頭の善六が水瓶の中に借り置きした。
煤取りが終わって、御神酒徳利が見つからないと大騒ぎになった。
善六は帰宅したが、水瓶の中に置いたことを思い出して女房に相談すると、算盤占いの振りをして当てたことにしろと言われた。
すぐに店に戻って水瓶の中を当ててみせた。
そこで大坂の豪商鴻池家の番頭が、善六の占い能力に感心して、店のお嬢さんの病気を見てくれと、一緒に大坂までに行くことになった。
旅の途中、神奈川の旅籠で薩摩藩士の巾着と密書が盗まれて、宿主が嫌疑を受けている。
善六のインチキ占いが期待され、仕方なく占いを始め、隙をみて逃げ出そうという時に、宿るの女中が占いの名人からは逃げられないと、庭のお稲荷さんに隠したことを善六に告白する。
善六は機転を利かせて、算盤占いの振りをして、巾着と密書の場所を言い当てた。
さらに、大坂の鴻池でもたまたまインチキ占いが当たり、お嬢さんの病気が治ったので、お礼として、馬喰町に旅籠屋をプレゼントされ、善六の宿は大いに栄えたと言う。
算盤で成功したから、その暮らし振りは桁違いという・・・・。
こういうのは、落語にしかない展開だと思います。
この噺、柳派では別名「占い八百屋」という題名で、番頭さんではなく、出入りの八百屋さんが主人公になっています。
この噺も、みんながハッピーになるという点では、「井戸の茶碗」と一脈通ずるところがあるかもしれません。
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