植木のお化け
「人形町らくだ亭」で、「春風亭一朝」師匠がお演りになった「植木のお化け」。
あまり聴かない噺です。
それにしても、一朝師匠お見事の一席でした。
こういう「音曲噺」というのは、筋を追う面白さではなく、言葉や調子で遊ぶ楽しさが全てです。 隠居の所に、権助に煮え湯をかけられた恨みで植木のお化けが出るという噂を聞き、長屋の連中がそろって見物に押しかけた。
一杯やって待っていると、続々とお化けたちが登場してくる。
「あの、酒乱の二人は何だい」
「榊(酒気)に蘭(乱)だ」
「何も言わないで消えた奴は」
「梔子(口無し)だろう」
「鞍馬八流の天狗の試合を演じているのは」 「花菖蒲(勝負)だろう」
「見事だなァ、勧進帳の富樫と弁慶のいでたちだ」
「あれは、石菖蒲(関所うぶ)に弁慶草に違いない」
「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経……とずいぶんにぎやかに出て来たが、あれは南無妙法蓮華経草かい」
「なあに、蓮華に橘さ」
落語には、日蓮宗がよく登場します。 オチの「橘」は、日蓮宗の紋所「井筒に橘」から来たのでしょう。
ちょっと分かりづらいと思います。
長屋連がにぎやかに化け物見物に出掛け、お化け達もにぎやかに登場するというストーリーですが、なかなか難しい噺だと思います。
日蓮(1222〜1282)は、多くの僧が「浄土往生(じょうどおうじょう)」の教えを説いたのに対し、「南無妙法蓮華経」を唱えればこの世に受けた肉体のまま仏になることが出来るという「即身成仏(そくしんじょうぶつ)」を説きました。
南無妙法蓮華経・・・・・。
「落語・噺・ネタ」カテゴリの記事
- 稽古をした演目(2020.09.09)
- 十八番(2020.07.13)
- 「紺屋高尾」と「幾代餅」(2020.06.18)
- 落語DEデート(2020.05.24)
- 古今亭志ん朝を聴きながら(2020.05.23)