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2011年8月23日 (火)

ホール落語(会)

もとは専ら寄席で演じられていた落語は、やがて寄席以外の様々な場所で開催されるようになりました。
特に、現在は「ホール落語(会)」というのが盛んです。
「ホール落語」というのは、演芸を上演する目的で造られた寄席や演芸場ではなく、通常は演芸を上演しない劇場やホールで開催される落語会のことを言います。
「ホール落語」というのは俗称ですが、上演場所を指すだけではなく、一定以上の力量を持つ数名(4~5名)の落語家が競演し、演目は原則落語だけで、色物は出演しないという「型」も含まれている気がします。
これが寄席と決定的に違う点です。
出演者の多い寄席と違って、一人あたりの上演時間は長く取ることが出来ますから、概ね20分以上、30分~1時間程度になります。
寄席では主任以外は15分程度ですから、寄席ではかけられない大きな演目が期待できるという訳です。
従って、噺家さんは、噺の
省略や途中でサゲることなく、きっちりと最後まで演ずることも求められます。
また、ネタ出し(事前に演題を公表)している落語会も多いようです。
5三遊亭圓生師匠は、このホール落語が盛んになった功労者の一人だと思います。
本寸法の落語を守るため、自身の芸を高めるため、戦前は落語研究会を復活させたり、戦後の有力なホール落語会にも精力的に出演したり。
この活躍があって、名実ともに「昭和の名人」と評されることにもなったのでしょう。
また、落語協会を脱退して、寄席への出演が叶わなくなって、文字通り東奔西走し、全国各地でホール落語会や独演会を開きました。
その疲れが、その死を早めた原因にもなっている気がします。
さて、現在都内で定期的に開催されている主なホール落語会を整理しておきます。
私が生まれた直後ぐらいからずっと続いている老舗の落語会もあり、最近新設された立派なホールでスタートした会もあります。
現在では、特に、柳家小三治・立川志の輔・柳家さん喬・柳家権太楼・春風亭小朝・柳亭市馬・立川談春・春風亭昇太・柳家喬太郎・柳家三三などの各師匠方が出演する落語会は、即日完売になると言っても過言ではありません。
■東京落語会/NHK/虎ノ門・ニッショーホールPhoto_17
昭和34年から続いています。
今月開催が【第626回】でした。
はじめの頃は、形式上NHKからは独立している「東京落語会」(会長・久保田万太郎)という団体が主催という形をとったんだそうです。
ニッショーホールは、座席数752。
過去は、 サンケイホール、銀座ヤマハホール、イイノホールなどで開催されていたこともあるそうです。
ももう数年間会員になっていて、毎月聴きに行きます。
開演時刻が6時と早いのと、NHKらしく、全方位外交をしていますので、内容にはやや物足りなさがあります。
■三越落語会/三越/日本橋・三越劇場

2_5昭和28年から続いているという老舗中の老舗。
主催は勿論三越です。
最近では7月開催で【第562回】でした。
この会も久保田万太郎の提唱で始まったそう。
会場は、三越劇場(日本橋三越本店本館 6F) 座席数514。
内容も良いのですが、サラリーマンには開演が6時で、仲入りの時間が長いのがネックなのですが、そこは一流デパートの店舗内の会場だと諦めて・・・。
開演時刻が早いので、最近はちょっとご無沙汰気味です。
チケットのプレオーダーの抽選にはエントリーしています。
■紀伊國屋寄席/紀伊國屋書店/新宿・紀伊國屋ホール

2_3昭和39年からスタート。
主催は、紀伊國屋書店(田辺茂一)。
今月開催が【第560回】でした。
会場の紀伊國屋ホール(紀伊國屋書店新宿本店 4F) 座席数418。
月末月初近くの月曜日というのが開催パターンです。
チケットは、昔ながらのアナログ対応が中心で、公演会場内で次回分を買うか、チケット売り場まで足を運ぶかでゲットして、かなり多く通っています。
圓窓師匠も、この落語会には最低1年1回必ずご出演されている常連のようです。
ただ残念ながら今月の公演は、師匠体調不良で休演されました。
そう言えば、直接正式に師匠に入門(大袈裟?)をお願いしたのは、ここのロビーでした。
■落語研究会/TBS/半蔵門・国立劇場小劇場

Photo_13昭和43年からの「第五次落語研究会」です。
主催はTBSです。
最近7月で、【第517回】でした。
会場の国立劇場小劇場 座席数590。
出演者も良いのですが、なかなか行くことが出来ません。
会員になるのが超難関で、サラリーマンには無理だと思います。
当日券に並んで数回行きましたが、最もハードルの高い会です。
■朝日名人会/朝日新聞/有楽町・有楽町朝日ホール
Photo_12平成11年からの比較的新しい落語会です。
主催は、 朝日新聞(朝日ホール)。
「圓生百席」の京須偕充さんがプロデュース。
最近7月で【第111回】でした。
会場の有楽町朝日ホール(有楽町マリオン 11F)座席数718。
出演者が充実していることもあり、チケットは即日完売も多いです。
年間(と半年)通し券の抽選があり、当たるとラッキーです。
今年は、年間通し券に当たっていますので、毎回通っています。
今は亡き先輩の「麻雀亭駄楽」師匠にお伴して、楽屋へ圓窓師匠を訪ねたことがあります。
楽屋には、歌丸師匠、権太楼師匠、市馬さんがいました。
■読売GINZA落語会/読売新聞/銀座・ルテアトル銀座
Photo_14
平成年からスタート。
主催は、読売新聞社。 
最近7月で【第34回】でした。
開催がやや不定期なので、よく見ておかないといけません。
会場のルテアトル銀座(ホテル西洋銀座3F)座席数772。
会場内は黒が基調なので、落語を聴くにはやや暗い感じです。
日本伝統の話芸・落語の復活を目指し、新たなる落語会の名人を生み出すため、才能と勢いのある若手・中堅の落語家を支援する」という目的でスタートしたとのこと。
■大手町落語会/産経新聞/大手町・日経ホール
Photo_11平成22年に新築の大手町日本経済新聞社内の日経ホールでスタート。
主催は、産経新聞(サンケイリビング新聞社)。
オフィスM'sが企画しているようです。
今月で【第8回】でした。

会場の日経ホール(日経ビル3F)座席数610。
まだ新しい落語会で、会場も新しく、ゆったり見ることが出来ます。
さて、以下は、残念ながら今は開催されていないホール落語会で、私も何度も通った落語会です。
□東西落語研鑽会/六人の会/有楽町・よみうりホール
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平成15年にスタート。
主催は、春風亭小朝さんなどの六人の会。
30回ぐらいまで続きましたが、残念ながら終了したようです。
会場は、よみうりホール(ビックカメラ有楽町店7F) 座席数1100。
六人の会は、小朝・志の輔・昇太・鶴瓶・花緑・正蔵さんでしたか、「大銀座落語祭」もやっていました。
□にっかん飛切落語会/日刊スポーツ新聞・イイノホール

Photo_10昭和49年から平成19年まで開催されていましたが、会場のイイノホールが建て直しのためクローズしたため終了してしまいました。
先代の三遊亭圓楽師匠が主になって始め、力を入れていたと聞いています。
最近、別の会場で「新にっかん・・・・」という会が始まっているようですが、まだ行ったことはありません。
間もなく、あのイイノホール(イイノビル)が新築オープンしますが、「東京落語会」は戻るのか、別の落語会が始まるのではないかなど、とても楽しみにしています。
・・・という訳で、寄席もいいし、ホール落語もいい。
それぞれに求めるものを見出して、バランスよく通いたいと思います。

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