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2011年8月 1日 (月)

「落語中毒」シンドローム

hospital「落語中毒」シンドローム・・・。
これは、私が勝手に名付けた言葉です。
      
素人が、自分で志したり、人から勧められたり、落語を聴きに行ったらやらされたりと、色々なきっかけはありますが、自己流で、あるいはプロの噺家さんに稽古してもらい、落語を演る羽目になります。
聴くのと演るのとでは随分違うもので、それぞれ苦労しながら稽古を重ねて初高座(発表会)に臨みます。
初高座での出来・不出来はそれぞれでしょうが、この後に多くの人が罹るのが、この「落語中毒」という、厄介で滑稽な「難病」です。
初めて落語に挑戦する時は、ほとんどの人がネタ帳を暗記しようとしますから、一通り覚えるのには、物凄い体力が必要になります。
ここで挫折しそうになりますが、「中毒患者予備軍」の方々は、悶えながらも何とか乗り越えます。
やっと台詞が覚えられると、今度は仕草・・・。
落語にはそれほど難しい決まり事はありませんが、特に上下(かみしも)を理解するのに苦労する人が多いようです。

台詞と仕草を並行して練り上げて行く過程も大変です。
「何で、こんな苦労をしなくちゃいけないの?」なんて思いながら・・、発表会が近づいて来て、仕上がり具合と迫りくる時間との狭間で悶々とします。
そして迎えた初高座。
言葉や不安とは裏腹に、多くの人が、稽古とは見違えるようなパフォーマンスを発揮します。
このあたりに、その人の"本性"が出て来.るのです。
高座に上がる前の舞台の袖では、心臓が口から飛び出すほどに緊張していた人でも、本番では、本人も驚くような、とんでもない「火事場の馬○力」が出る。
そして、高座を下りた時の、解放感と充実感と脱力感で、打上げのビールの美味さに、文字通り酔いしれるのです。
この脱力感が「落語中毒」の最初の症状・・・。
そして、帰宅して一人になって、初めての経験で疲れた身体を癒そうと床に入っても、ハイな気分が続いていて、なかなか寝付けません。
このハイテンションが、本格的中毒の一歩手前です。
打上げの後ぐらいから布団に入る頃に、「次は何を演ろうかな・・」なんて考えている自分を見つけて驚く人は、もう完全な中毒患者です。
一夜明けても、何となく高座の余韻が残っている。
拍手や笑いや、カラカラになった口や、汗だくの身体やらが、強弱の波になって、押し寄せて来て、ボーっとしている。
さらに、通勤途上や、仕事や家事の最中に、ぶつぶつとネタを呟くようになると・・、もはや完全な中毒ということになります。
                 
この病気は、原因は明らかですが、残念ながら現状では有効な治療方法や薬剤はありません。
・・・こうして、昨日も今日も、そして明日も、厄介な(滑稽な)患者が増えて行くのです。
高座の(落語を演る)「魔力」にとりつかれた人たちが・・・。
もう、落語を演らずにはいられない身体になってしまっているのです。
この病気は、完治させるのは絶対に不可能ですから、これから一生、この病気と上手く付き合って行く覚悟が重要です。
発熱や痛み、内臓や手足の不具合などの症状もありません。
また、食事や運動などの制限も必要ありませんから、普段の生活には全く影響はありません。
が、高座(発表会)が近づくと、罹患して時間が経っても、その度に、後悔と緊張との切迫感から、仕事や家事が手に着かなくなったり、中には、外出中に歩きながらぶつぶつと奇声を発して、周囲を驚かせたり、気味悪がらせたりする症状が出る人もいます。
ちなみに私も"重度の"中毒患者で、今から35年前頃に罹り、一時(4年間)はかなり重症になりました。
その後、環境が変わった(就職した)ことにより、暫く症状が緩和していた時期もありました。
しかし、これは決して完治や改善した訳ではなく、落語から離れていたので、単に症状が潜伏状態だっただけで、5年ほど前に落語に戻った瞬間に再発。
今は以前より重い症状になっています。
その酷さは、このプログをご覧の皆さまもよくご存知なところです。

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