(昭和)任侠伝
新作落語の演目の一つ。
昭和の落語家・桂音也の創作落語。
2代目桂春蝶の得意ネタで、彼の死後は子息の3代目桂春蝶や、弟子の桂昇蝶等によって演じられている。
・・・ということは、この「任侠伝」という噺は、先代桂春蝶一門の十八番ということですな。
上方落語のことは分かりませんのですが・・。
先代の春蝶師匠は、テレビにもよく出ていて、かなり人気がありました。
確か、物凄く痩せた噺家さんで、50歳そこそこで亡くなったんですよ。
上方落語界でも、林家小染さん、そしてこの桂春蝶さん、最近では桂吉朝さんなど、実力者が夭折していますよ。
そうそう、桂枝雀さんだってそうですよ。
任侠道に憧れる男、今日も高倉健の任侠映画を見て「健さんかっこええなあ・・」と着流しと雪駄姿で法悦境に浸りながら帰ってくる。
「おっ母さん。只今帰りやした。さくらはもう寝たかい。」とここでは渥美清風に。母親はすっかりブチ切れ「さくらやない。花子じゃ!東映も松竹もごっちゃになってるやないか!もう、こっちは八百屋の店で忙しいのに。毎日、おんなじ映画ばかり見くさって!アホなこと言うてんと、さっさと風呂行ってこい!」と一喝される。
男は、女性に声をかけられると、藤純子と健さんのやりとりよろしく、「おっと!姐さんよっちゃいけねえ。」と大見得をきるが、「手ぬぐい落ってますけど。」と教えられ、大恥をかき風呂屋に入る。
風呂屋では客の刺青に憧れ、「わいもやったろ。健さんみたいな唐獅子牡丹・・・ええなあ。」と、さっそく刺青を入れに行くが、「痛っ!・・・ちょっ!ちょっと待っとくなはれ。・・・ああ、血イ出たアる。あの、絆創膏(噺によっては赤チン)おまへんか。」との態たらく、怒った刺青師に「去ね!去にさらせ!」と怒鳴られ追い出される。
それなら健さんみたいに、罪を犯して刑務所に入ったれと露天バナナ一本を盗むが、「・・・お手向いいたしやせん。旦那、警察へ突き出しておくんなせえ。」「お前、角の八百屋とこの息子やないか。家にぎょうさんバナナあンのに。・・・アホの相手してるほど暇やないねん。一本やるから去に。」「それじゃあ、こっちの気が済みやせん。どうぞ、突きだしておくんなせえ。」「忙しいから去ね言うとんじゃ。ゴタゴタ抜かしとったら、いてまうぞ!」とこれまた叱られる。
やることなすことうまくいかず、男は本当の任侠道になれない事を嘆きながら家に帰る。もう目の前が真っ暗。「ああ、お母っさん。右も左も真っ暗闇じゃござんせんか!」「あほ!今停電じゃ!」
3代目春蝶の演じる現在バージョンには竹内力「ミナミの帝王」の一節が登場する。
タイトルは「任侠伝」の名で演じる事が多い。
・・・なるほど、「読売GINZA落語会」で聴いたのも、このとおりのストーリーでした。
が、私はあまり好きな噺ではありませんがね。
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