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2011年4月 6日 (水)

救いの腕

わが圓窓師匠の創作噺。
師匠が「唯川恵」さんの小説を元に作られたという噺です。
設定を江戸時代に変えていますが、何となく現代の香りがする感じ。
二十歳のおまきが姉を訪ねてきて、亭主の善吉のことを愚痴ります。
善吉は十歳上なのですが、「毎日決まって暮れ六ツ(午後六時)には帰ってきて、何を聞いても返事は“ああ”“うう”。
固い本を夢中になって読んでいるばかりで張り合いがない」とこぼします。
姉の亭主が何日もどこかで遊んできて、帰ってくればぶったりぶたれたり喧嘩ばかりなのとは大違い。
おまきはそんな姉夫婦がうらやましいようです。
実はおまきには忘れられない人がいるのでした。
それは十歳の時、向島の川で桜の枝を拾おうとしておぼれた時に、たくましい腕で救ってくれた男。気を失ってしまい、誰だかわからずに今日まできてしまったのです。
そう打ち明けて、亭主の善吉とは別れたいというおまきですが・・・。
この噺は、姉妹の会話が中心で、若い女性が主人公という、珍しい噺です。
結婚してみたら亭主には何となくもの足りなくなり、腕の記憶だけが残る男性に惹かれてしまう。
揺れ動く女心が、川面の水に象徴されているようです。

女性同士のとりとめのない姉妹の会話は新鮮かつ自然で、聴いた後に優しい気持ちになれる、素敵な噺です。
何か霞がかかっているような、幼児の頃の体験や記憶・・・。
記憶が曖昧なだけに、極端に美化していることもあるようです。
そんな心理を、それも女心を巧みに表現する師匠の話芸とオチは、落語の素晴らしい一面を堪能させてもらえます。
この噺、実は師匠のライフワークでもあった「圓窓五百噺」の第499題目の噺で、2001年3月9日に名古屋の含笑寺での最終公演でお演りになっているのです。
もう一度しっかり聴いてみて、次回の落語っ子連で演らせてもらおうか・・・。
今度の稽古会の時に、師匠にお願いしてみようか・・・。

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