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2011年3月 1日 (火)

仁和寺にある

三遊亭兼好、じゃなくて吉田兼好の「徒然草」の第52段。Photo_2
仁和寺にある法師、年寄るまで、石清水を拝まざりければ、心うく覚えて、ある時思ひ立ちて、ただひとり、徒歩よりまうでけり。
極楽寺・高良などを拝みて、かばかりと心得て帰りにけり。
さて、かたへの人にあひて、「年ごろ思ひつること、果し侍りぬ。
聞きしにも過ぎて、尊くこそおはしけれ。
そも、参りたる人ごとに山へ登りしは、何事かありけん、ゆかしかりしかど、神へ参るこそ本意なれと思ひて、山までは見ず」とぞ言ひける。すこしのことにも、先達はあらまほしき事なり。

その仁和寺。
世界文化遺産に登録されている真言宗御室派総本山だそうですが、境内にある「御室八十八カ所霊場」のお堂の仏像3体が盗まれてしまったとのこと。
罰当たりがいるのものですなぁ。
盗まれたのは、千手観世音菩薩2体と弥勒菩薩1体で、高さは90~95センチ。霊場の順路(約3キロ)に点在する小さなお堂に安置されていました。
この霊場では、以前(01年)にも、仏像約40体が、09年に1体が盗まれているそうです。
仁和寺のある法師が、年をとるまで石清水を拝んだことがなかったので、それを残念に思って、ある時、思い立って、ただひとり、徒歩で参詣した。
ところが彼は、極楽寺や高良社などを拝んで、これで願いがかなったと思い込んで帰ってしまった。
そして、仲間に向かって、「長年思っていたことを、ようやく果たしました。評判以上に尊いお宮でした。それにしても、あの時に、参拝の人たちが皆、山に登って行きましたが、山の上に何事があったのか。気にはなったけれど、神へ参るのが目的なのだと思って、私は山の上までは見物しませんでした」と言ったそうだ。
少しのことにも、案内者は持ちたいものである。
Photo
そういえば、私の郷里でも、もう10年以上も前でしょうか、富士山が綺麗に見える場所にあった、6体のお地蔵さん(六地蔵)の頭(首から上)の部分が盗まれたことがありました。
犯人は捕まっていなかったはずです。
私は、ことさら信心深い訳ではありませんが、本当にどういう了見でこんな酷いことをするのでしょう・・・。

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