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2011年3月 2日 (水)

師匠の柳田角之進

Ca0okwrt

紀伊國屋寄席での圓窓師匠の、1時間を超えようかという長講のマクラで、演題が「柳田格之進」ではなくて「柳田角之進」になっていた訳が分かりました。
「この噺は、志ん朝さんから教えてもらいました。」の一言。
そうか!師匠の「柳田・・・」は、古今亭のものか。
古今亭は、「柳田角之進」と言っています。
従って、師匠のも「格」ではなく「角」を使っているという訳でしょう。
だからと言って、志ん朝師匠の部分などは全く気がつきません。
完全に師匠の語り、噺になっているのです。
この噺も、講釈物の人情噺ですから、確かご多分に漏れずオチがありません。
師匠のことだから、きっとオリジナルのオチがあるだろうと期待していたら、やはり予想通り、実に巧妙な仕込みオチになっていました。
囲碁の用語に「跳ね(る)」という言葉があるそうです。
辞書で調べると・・。
(「綽」とも書く)囲碁で、互いの石が接するとき、相手の進行を止めるために斜めに打つこと。
とあります。
萬屋(よろずや)源兵衛さんと柳田角之進は、囲碁が縁で知り合い親しくなった仲ですから、この仕込みは実に自然でした。
そしてもうひとつの注目点だった娘のおきぬさんの運命。
師匠は吉原に身売りし、そこで病気になって死んでしまうという悲劇にしていて、ハッピーエンドではありませんでした。
ところで、師匠のHP「圓窓落語大百科事典"だくだく"」は斯界随一の内容と量を誇るものだと思いますが、今回の「柳田角之進」についても、内容は異なるものの、丁寧にコメントをしておられます。
http://ensou-dakudaku.net/furrok/ya.html
それにしても、この噺もまた、人の世の心の往来を描く名作だと思います。
柳田の堪忍袋などという表現もされますが、実に深いものです。

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