« 真打競演 | トップページ | おしどり夫婦 »

2010年11月 9日 (火)

猫定

「マッカーサー道路」の話題の時に出た「猫定」という噺。
以前、圓窓師匠の独演会で聴きました。
その時の師匠は、普段から我々をご指導くださる時に仰っているとおり、地噺の部分を極力削ぎ落とし、台詞や仕草でストーリーを進め、必ずオチをつけるというのを実践した高座を見せてくださった記憶があります。
落語は、浪曲や講釈とは違う、会話で噺を進めて行くものだということで。
≪猫定≫
八丁堀玉子屋新道 の魚屋「定吉」は本業が博打打ち。朝湯の帰り三河屋で酒を飲んでいたが、悪さをして困るという黒猫を殺されるところをもらって帰る。
猫と一人話をしながら丁半博打を話して聞かせる。
「壺の中が分かるなら教えてみな」と試すと、「にゃご」と一回鳴くと”半”、「にゃご、にゃご」と二回鳴くと”長”、の目が出ている。
猫も恩を感じて教えてくれるのだと思い、賭場に行くときはいつも 黒猫”クマ”を懐に入れて行く。
当然いつも勝つ様になって、羽振りも良くなり回りも兄ぃとか親分と呼ぶ様になったが、あだ名を猫好きの定吉で「猫定」と呼ぶ様になった。

 ある時江戸をふた月ばかり離れなくてはいけなくなり、女房に猫を託して旅に出る。
”旅の留守家にもゴマの灰が付き”で、若い男を連れ込んで女房”お滝”は楽しんでいた。
旅から戻った定吉はある日、愛宕下の藪加藤へ猫を連れて遊びに出かける。
留守宅では女房が男を引き入れ、亭主を殺して一緒になろうとそそのかす。
その晩は猫が鳴かないので早めに切り上げ、雨の中「愛宕下」から「新橋」に抜けて近道をしようと真っ暗な采女が原を抜けるとき、小用を足していたら、後ろから竹槍で有無を言わさず刺され、鯵切り包丁でとどめを刺され殺されてしまう。
その時胸元から黒いものが飛び出した。雨は激しさを増してきた。
留守宅で女房は事のいきさつを心配していたが、引き窓が開いて黒いものが落ちてきた。
「ぎゃ~」と悲鳴を上げた。
その声を聞いた長屋の者が台所で死んでいる女房を発見。
朝には定吉の死を知らされる。
采女が原に見に行くと隣に間男が首を食いちぎられ死んでいた。
定吉の死骸を引き取って、女房と二人のお通夜をする。
長屋の連中が居眠りを始めると、棺の蓋が開いて、二人の死骸がすさまじい形相で立ち上がった。
恐れをなしてみんな逃げ出したが、あんまの三味(しゃみ)の市だけは見えないので平然と線香を上げている。
そこに長屋住まいの浪人が帰ってきて、事の様子をうかがい棺の向こうの壁を刀で突くと「ぎゃ~」。
Sin_nekoduka_s 隣の空き部屋を覗くと黒猫が息絶えていた。
手には間男の喉元を持っていたので、主人のあだを討った忠義な猫だと評判になった。御上から25両の褒美が出て、両国回向院に猫塚を建てた。猫塚の由来という一席。
ということになるのですが、圓窓師匠はさらにオチをつけています。
猫塚の建てられた場所が面白い。鼠小僧の墓の隣にある。ですから、墓の下で鼠が感心したそうで…。
「猫のくせに、チュウーッ(忠)

そして、この噺について、圓生師匠しか演らなかった噺だが、圓生師匠は猫を化け猫として扱っていて、ちょっとそのままでは演る気は起こらなかったということで、圓窓師匠は、猫に人間と同じ「情」を注入してお演りになったと仰っていました。
ところで、「ラジオデイズ」というHPに圓窓師匠の記事がありました。
昨年の10月のものですが、コラボのこと、「猫定」のことに触れています。
 http://www.radiodays.jp/radiodays-blog/mrd/?p=1341

 

« 真打競演 | トップページ | おしどり夫婦 »

落語・噺・ネタ」カテゴリの記事