ねずみ
出を待つ時の何とも言えない緊張感が、最近ちょっと快感になって来た気もします。
一方で、失敗や不出来への恐怖感も同居しています。
かつて文楽師匠や志ん朝師匠は、扇子で掌に「人」という字を書いて、それを飲み込んでから高座に上がったとも言われます。
「あ~ぁ、なぜこんな変な(つらい)気持ちになるようなことをやっているんだろう」なんていう部分もあります。
さあ「ねずみ」です。
会場が広いので、少し声を高めにしようと思い、高座めくりをやっていただいた大先輩の「N」さんに、「座布団の場所を少し後ろにずらしてください。」とお願いをして、企画された方が用意してくださった圓窓師匠の出囃子「新曲浦島」に乗って、いざ高座へ。
私の前に「軒付け」を演られた南坊さんが、袖ですれ違いざまに、「お客さんが固い(あまり笑わない)ので、手ごわいですよ」と言っていましたから、覚悟をしつつ。
最初の一言如何で、その高座の帰趨を決すると言っても過言ではないと思っています。
「代わる代わる、色々な顔をご覧に入れまして・・・」、うんまずまず・・・。
後は、何ヶ所も間違いや失敗はありましたが、楽しく噺を進めて行くことができました。
「私の腰が立ちました。ねずみの腰が抜けました。」という台詞で、客席の笑いを取った直後でしょうか、「あぁ、もうすぐオチだな。もうオチになっちゃうのか。もっとやっていたいな。」なんていう、とんでもない気持ちが湧いて来ました。
「えっ?あれは虎ですか?あたしゃてっきり猫だと思いました。」というオチのねずみの台詞の時、客席から「あ~っ」という声にもならないような声が聞こえて来ました。
こんな楽しい時間を過ごすことが出来る幸せを堪能させていただきました。
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