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2010年3月31日 (水)

マクラとオチの言葉遣い

これも、先日の稽古での話。

窓口さんが「代書屋」のマクラを演っている時、師匠から「『・・・でございます』っていう言葉遣いは感心しない。普段の喋り言葉で言ったほうがいい。」とのご指摘。
マクラは、演者の地で喋るものなのだから、普段使わないような改まった言葉遣いは不自然だ。「ございます」なんていう言葉を使えば使うほど、若い人たちから、落語は古めかしくていやだと思われてします。だから、「・・・です」で十分だと。
「この間、○○(ある人気者の噺家さんを例に出して)が、『今日は木曜日でございます』って言っていたが、木曜日にまで敬語を使う必要はないよ。」と・・・。
師匠は、以前に私にも同様のコメントをしてくださいました。
「浜野矩随」のマクラで、「名人と上手との間には大変な違いがあるもんなんだそうでございますな。」
「流三さん、何度も『・・ございます』って言わない方がいいよ。
くどくなって嫌味に聞こえることもあるから。」と・・。
「大変な違いがあるもんなんだそうですな。」と変えました。

一方の無弦さん。
「厩火事」では、「明日っから、遊んでて酒が飲めねぇ・・。」のオチがどうもしっくり行かない。
すると「明日っから」を取ってしまったらという師匠からのアドバイス。
「えっ?取ってしまっても構わないんですか?」と無弦さん。
「いいんだよ。何事も工夫が大切。教わった(ネタにした)人のそのままをやる必要はないよ。」と師匠。
無弦さん、早速この一フレーズを取って演ってみて、「あ~ぁ、この方がずっと喋り易い!」。
「そうそう。それでいいんだよ。こういう工夫を、花緑(柳家花緑さんのこと)はよくやっている。そういう探究心が旺盛だから、彼は物凄くよくなって来た。大事なことだね。」と師匠。
たかが「明日っから」ですが、研究の余地があるものなんですね。

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