ほうじの茶
昭和53年に刊行された季刊「落語」創刊号で、保田武宏さんが、圓窓師匠の「ほうじの茶」の評論をしていたのを見つけたので、コビーを師匠に持って行きました。
この評論のことは、師匠も知らない(忘れてしまった?)ようでした。 圓窓師匠は、「ほうじの茶」は、圓生師匠から筋立てや蘊蓄などをおしえていただいて、それを参考にしてご自身で作って演ったのだそうです。
圓生師匠の真似(声色)は、勿論ご本人の前では演らなかったそうですが、三越落語会での若手中心の企画で、圓窓師匠がトリでこの噺を演ったことがあったそうです。
その時、仲入り前ぐらいに圓生師匠がゲストで出演されていたそうですが、圓窓師匠は仲入り後にお帰りになったと思い、圓生師匠の声色も入れて演ったのだとか・・。
舞台がはねた後、高座を囲んでの三本締めの音頭を(帰ったと思っていた)圓生師匠が取るのを知って、圓窓師匠が驚いていると、圓生師匠が楽屋から出て来るなり、扇子で圓窓師匠の頭をこつんと叩いたんだそうです。物凄く温かいものが感じられる師弟の話で、圓窓師匠も懐かしそうでした。
ところで、この「ほうじの茶」というのは、典型的な音曲噺。
圓窓師匠は、漫談や司会で有名だった「宮尾たか志」さんに初めて会った時、突然お礼を言われたんだそうです。
「オレの親父の十八番だった噺を掘り起こしてくれてありがとう。」。
聞けば、宮尾たか志さんの父親こそ、三代目柳家つばめ師匠なのだそうで。調べてみると、昭和17年に亡くなった噺家さんで、本名が「宮尾正造」とありました。
面白いですね。人に歴史あり。噺にも歴史あり。・・ですよ。
寄席文字の橘右近師匠も、このつばめ師匠のお弟子さんだったようです。宮尾たか志さんも懐かしいですね。
圓窓師匠の「ほうじの茶」は、キングレコードの「昭和の名人 古典落語名演集 六代目三遊亭圓窓 一 」に、明烏とのカップリングで収録されています。 圓窓師匠の声色の熱演がとても面白いCDです。
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