みんな違って①
師匠から、金子みすヾのことを教えていただきました。
何十年も、他人との競争に明け暮れ、その価値観だけで生きて来た身には、ある時まで、敗者の言い訳のように感じたこともありましたが、人として見たら、今まで自分が身を置いていた世界の喧騒が、少し空しくなりました。
落語というのも、寛容・受容で成り立っているものだと思います。
談志師匠の言う「"業"の肯定」です。
≪わたしと小鳥と鈴と≫
わたしが両手を広げても
お空はちっとも飛べないが
飛べる小鳥はわたしのように
地べたを早くは走れない
わたしが体をゆすっても
きれいな音は出ないけれど
あの鳴る鈴はわたしのように
たくさんな歌は知らないよ
鈴と小鳥と それからわたし
みんな違って みんないい
ナンバーワンにならなくてもいい。オンリーワンでいい。
これと一脈通ずるところがあります。
≪大漁≫
朝焼け小焼けだ大漁だ
オオバいわしの大漁だ
浜は祭りのようだけど
海の中では何万の
いわしの弔いするだろう
小噺でも同じ発想のものがありますよ。
私が落研で最初に演った「あたま山」にも、こんな発想がありますよ。
この世界観・宇宙観がいいですね。
※金子 みすゞ(かねこ みすず、1903年(明治36年)4月11日 - 1930年(昭和5年)3月10日)は、大正時代末期から昭和時代初期にかけて活躍した童謡詩人。
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