落語CD昭和の名人≪23≫
このシリーズも22巻目。全26巻ということでしたから、大詰めになって来ました。
桂小南師匠・・・・。本当に優しい師匠でした。
昭和52年の秋、この写真の中に、小南師匠と私が写っているのです。
左上の帽子を被って笑っているのが小南師匠、右下で笑うメガネ顔が乱志です。
師匠しかお演りにならない「菜刀(ながたん)息子」に感動したのも、この日の落研主催の「古典落語観賞会」でした。
この「菜刀息子」について、本書でも触れていました。
謡曲「弱法師」をもとにした長い噺で、父親の頼みを間違えて菜刀(菜切り包丁)を誂えてしまった息子が、家を追い出される。サゲで、乞食になった息子が父親から施しを受けて「菜刀誂えまして難渋をいたしております」と言うが、これは「長々患いまして難渋をいたしております」の駄洒落な過ぎない。拙劣なサゲと見なされていた。ところが小南は、これを息子の父親への抵抗ととらえ、どんでん返しに仕立てた。
私は、これを読むまで、「長々患い」と「菜刀誂え」の地口だとは気がつきませんでした。
親の心を知らない息子の間抜けな台詞がオチそのものだと思っていました。(やっぱりこの息子は分かっていないんだという・・。)
また、本書の解説のような息子の抵抗だという解釈もうなづけます。
CDに収められている「いかけ屋」も懐かしいし、「蜆(しじみ)売り」なんて、最近、立川志の輔さんのを聴きましたが、舞台背景が違うので、まったく別の噺のようです。
名人・上手といえば、志ん生だ、文楽だ、小さんだ・・。
全く否定するものではありませんが、小南師匠のような、派手ではありませんが、しっかりした地位を築いていた師匠たちに、もっともっとスポットがあたるといいですね。
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