落語と盲目ピアニスト
有名な国際ピアノコンテストで優勝した盲目のピアニストの話を、聞けば聞くほど感心してしまいます。
天賦の才とポジティブなスタンスと努力に周囲の環境が相俟っていて。中でも、ポジティブなスタンスというのは、落語国の人たちとの共通点があると思います。
桂文楽師匠が「心眼」のマクラで、生まれつき盲目な人と後天的に盲目になった人の杖のつきかたの違いに触れていますが、彼は前者ですね。
オチで梅喜さんが「寝ている時だけよぉ〜く見える」なんて言いますが、彼も感謝しているという両親の顔が見たい反面、イメージの中にしっかりと認識されているのだそうです。
談志師匠は、落語は「業の肯定」だと仰っていますが、私は「現実の受け容れ」だと思っています。「業」なんて難しい概念ではなく現実そのもの。「肯定」するだけではなく全てを受け容れていると思います。だから、自分も人をも恨んだりせず、所与の生をどう生きて行くかを、無意識に前向きに探って行きます。ポジティブなスタンスの源です。