噺の咄の話のはなし
六代目三遊亭圓生師匠の弟子に「三遊亭好生」さんという噺家さんがいました。 圓窓師匠にとっては兄弟子に当たる人なのですが、例の「落語協会分裂」騒動の狭間で、さん生(現川柳川柳)さんと二人、圓生師匠をしくじったと言われている人です。 この人は、後年自ら命を絶ってしまったのですが、圓生門を離れ(=落語協会に残り)、春風亭一柳と改名した直後に出版されたのが「噺の咄の話のはなし」という本です。 著者本人が自殺という悲劇的な最期だったこともあって、この本の存在は、当時から知ってはいましたが、どうせ暗い内容だろうと思い、読まずにいました。 が、昨年の学士会落語会の懇親会で、圓窓師匠と山本進さんの会話の中に、好生さんの話題が出たこともあり、古本屋で偶然見つけたので、思い切って買って読んでみました。 ・・・やはり、やるせない内容でした。
それにしても、昭和53年5月のあの騒動については、圓丈師匠の「ご乱心」やフィクション的に書かれた伯楽師匠の「落語協団騒動記」で有名ですが、この本の中でも、「仙台のホテルからの圓丈からさん生への電話」が出て来ます。 この日、仙台市民会館では「東北大学落語研究会 創部20周年記念 三遊亭圓生独演会」が開かれたのです。同落研と親しくしていた圓丈さんの真打披露も兼ねていました。 その落語会が終わった後、宿泊のホテルで、圓生師匠は圓丈さんに、落語協会を出て、新しく団体を立ち上げて寄席に出るという計画を初めて話すのです。
・・・・あの落語会の打ち上げの時、圓生師匠はとても明るくご機嫌よく、饒舌でした・・・。 自ら先頭に立った新しいチャレンジのスタートラインで、気分が高揚していたのでしょう。
・・・・それにしても、好生(一柳)さんの生き方が著されたこの本は、予想通り破滅的で悲しい内容でした。
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